1. メタボリックシンドロームの背景って?
メタボリックシンドローム」とは、メタボリズム、 つまり代謝や新陳代謝とシンドローム=症候群の造語です。 具体的には、
内臓脂肪型肥満
高脂肪血症
高血症
高血糖
の4つの症状のうち、3つ以上を持つ人をメタボリック シンドロームといいます。
実際、この3つ以上の症状を持っていると、 動脈硬化を引き起こす確率が何もない人の約36倍程度上がります。
つまり、一つひとつは軽度であっても、 すべての要因を持っていると、非常に危険な状態なのです。
これらは、あくまでも疫学(医療統計の集団疾患発生率傾向判断の学問)の観点から見た場合の基準です。
これらに当てはまらなければ、「動脈硬化症」にはならないという意味ではありませんし、 逆にこれらの条件に当てはまっても、全員が「動脈硬化症」になるとは限りません。

2. 歯科医師から見たメタボって?
歯科医療と高血糖(糖尿病)・高血圧(大きな意味での循環器疾患)・高脂血症は、 切っても切れない関係にあります。
 歯科臨床現場(歯科医療)では、歯周病などの感染症のほうが先に表れやすく、 その際、本人がメタボリックシンドロームと自覚しているケースは少ないでしょう。
ちなみに、メタボリックシンドロームの診断が付いている場合には、歯周病の症状が出やすいのです。
 これらの場合、歯周病の治療は困難になりやすい傾向があります。 時に完治する場合もありますが、再発する場合が多いです。 つまり、患者さんがメタボリックシンドロームが歯周病に関係があると意識することは大切なのです。
注)原則的には、歯周病ならメタボリックシンドローム、というワケではありません。 歯周病の原因の一つに、メタボリックシンドロームがあるのです。

3. 歯科医療によるメタボ
 (歯周病や口腔内感染症など)の治療
 メタボリックシンドロームと歯周病を併発している場合には、原則的に歯周病などの口腔内感染症の処置と、 感染源となる歯石・歯垢の除去を優先します。抗生剤や抗炎症剤の投与、場合によっては鎮痛剤の投与も行います。
 口腔内の場合、「噛み合わせ」の調整をする場合や外科的処置(歯肉剥離処置など)、消炎剤、抗生剤、 消毒薬の患部直接湿布を行います。場合によっては、歯牙の固定処置や口呼吸防止処置、歯ぎしり防止処置などを施します。
 原則的にはメタボリックシンドローム担当医師の指導や、投薬を優先しますが、 口腔内処置に関しては緊急性が要求される場合が多いので、対処療法を施します。 暫定的に噛み合わせを作り、経過観察をしながら歯科口腔内治療を施していきます。

4. 歯科・口腔・顔面の血行悪=メタボ!?
 口腔・顔面領域に分布する外頸動脈は総頸動脈から分岐した後、各部分への栄養や酸素を供給します。 この欠陥の分岐の仕方は、解剖学的には直角に曲がりながら枝分かれをします。 つまり、血流量が減少したり、血液粘度が上がったりすると血行不全が起きやすくなります。 同様の部位には腰部がありますが、顔面のほうが分岐状態が血行不全を起こしやすいのです(下図)。
したがって、血液が高脂血症や高血糖状態になりますと、口腔・顔面・頸部の疾患が吸えてきます。 よく老化現象が目や鼻、耳、口、首などの顔面からという話を聞きます。 つまり、メタボリックシンドロームとは、言い換えれば“血液が流れにくい状態”ですから、 この口腔・顔面領域の疾患が多くなりやすくなります。
 この領域の血管は、自律神経の支配と脳神経の支配(普通の血管は自律神経のみの支配を受けます)を受けるので、 二重支配となります。 つまり、この部分の血流は、普通の血行回復作用と脳神経刺激が必要となります。
また、違う意味で女性の場合は貧血という症状が出やすいために血行不全がなくとも、酸素不足になりやすい傾向があります。 するとシミやシワ、歯周病などが増えやすい傾向があります。
したがって、メタボリックシンドロームにおいては、口腔顔面領域の血流管理が重要になります。